花山天文台

narutakiso2007-10-20


今日は花山天文台の一般公開に抽選で当たったので、初めて行って参りました。正確には...「京都大学 大学院理学研究科附属 花山天文台」。
子供の頃には山科の家から、その銀色(だったと思う...)ドーム屋根がはっきりと見えていたのですが、いまでは木の陰になったのか、見えなくなって随分と経ちました。
近くで見るそれは、思ったよりも小さなもので「これがあの...?」と思いましたが、あの頃のものとは違うのでしょうか?

私が生まれた1960年代半ば、当時はまだ京大の主力だったココも、1968年完成の飛騨天文台にその座を譲って以来、大きな鏡も持って行かれてしまって、寂しい限りです。
それもこれも、京都の空気が街の空気に、夜には光害のために、空が白んでしまったから...そう思うとちょっと悲しいですね。
私が天文にあこがれて、中学生のくせに「相対性理論」の本なんか買ってしまって、結局数式も何もかもが理解出来ず、裏表紙のハッブルの観測天文学に対するセリフに、ただただ感銘していた頃も、まだそのドームは東山に輝いていたように思います。


ここの主鏡である45cm屈折鏡。光学系も変遷を経て、屈折・反射複合型という珍しい形式となっていますが、何より面白いのは、日周運動による星の動きを追尾する装置。普通は今どき電気モーターによる制御になっていますが、これは重りに掛かる重力を用いたもの。ウエイトが僅かずつ下がる(重力による落下)動きをワイヤーで伝え、それを回転運動にして、ギヤを動かすと言うもの。「停電になっても追尾出来ます」と言うのが良いところですが、但しドーム屋根の回転は電動の為、長時間の停電には抗えない様子。
この写真ではレンズや機器の保護の為か、ドームの開口方向とは逆をむいていて、ちょっと変な感じに写っています。


夜の45cm鏡観望に当たったので、20時前にもう一度行きました。


半月が煌々と光っていますが、これはそういう時が観望に向いているからと言う事でしょうか。満月より半月の方が、明暗の区切りに微妙なクレーターの凹凸が見えるからかも。
ドーム内の望遠鏡だけでは無く、昼間は庭の小型望遠鏡での太陽影の観測や、小さなほうの「別館ドーム」の、コレまた歴史ある18cm鏡での、太陽の直接像の観望等も出来ました。この18cm鏡がまた1910年のハレー彗星観測時に導入されたと言う古いもので、1986年のハレー彗星も観測したと言う逸話のあるもの。結構天文台も面白いものです。
「今日の1枚」は夜の観望時に上の写真のように、テラスで行われていた小型可搬望遠鏡での観望で、アイピース越しに携帯で撮らせてもらった月。結構キレイに撮れました。ただ、輪郭が歪んでいるのは、メールで転送した画像の解像度不足だけでは無くって、大気の揺らぎに因るところが大きいです。