『男はつらいよ』の日・河井寛次郎記念館あたり

 
昭和44年8月27日、劇場版『男はつらいよ』の第1作が公開されたことから、今日は『男はつらいよ』の日。映画『男はつらいよ』シリーズには何度か京都の街が出てきますが、第29作目『男はつらいよ・寅次郎あじさいの恋』では、13代目・片岡仁左衛門演じる陶芸家宅に寅さんが逗留し、いしだあゆみ演じる丹後は伊根出身の「かがり」という女性に出会います。その陶芸家宅が現「河井寛次郎記念館」*1(写真左)で、宿泊の経緯を覚えていない寅さんが朝、そそくさと荷物をまとめて出てきたところに、朝餉の豆腐を買いに出たかがりが出会う四つ角は、きっとこのあたり(写真右)ではなかったかと思います。


早速『男はつらいよ・寅次郎あじさいの恋』を久しぶりに見直してみました。冒頭で信州の湖畔に居た寅さんは、葵祭の見物客を相手に露店を出すべく京都に向かいます。出町あたりでしょうか、うまく行かない商売に早々に店を畳んだ後、鴨川の河原で切れた鼻緒を直してあげたことをきっかけに、老陶芸家(加納作二郎)と知り合います。上賀茂神社前の『神馬堂』で焼き餅を食べ、お返しに先斗町あたりの料亭でご馳走になり...旅の疲れか酒も回り、その陶芸家宅で朝を迎えることに...。そして目覚めでいきなり、かがりさんと出会うことになります。そこは加納作二郎家(=河井寛次郎記念館)の二階。そこから柄本明演じる弟子らも交えて、いつもの悲喜劇が繰り広げられる...という話の始まりです。
上の話の『四つ角』は、確かにここでした。写真右端の民家の窓も、件のシーンで確かに写っています。その後寅さんは写真右手(東)の道を行きますが、その先はすぐに東山(東大路)通りの『馬町』の交差点。更に坂を上れば京都女子大のキャンパスがあるあたりです。ちなみに...逆に左へ向かうとすぐに東山税務署。毎年確定申告の時期には、駐車場への車の列が出来る場所です。私もタコ社長同じく、税務署から連絡の多い身です。
この29作は、シリーズに何度かある「寅さん結婚のチャンス」のうちでも、かなり大きなチャンスだなんて、よく言われてはいますが、そんな”チャンス”なんて「そんなモンじゃないよ」って、寅さんなら思っていると思います。自分の生き様にそんな幸福は似合わない...と。結婚している人には一生解らない、そんな人生もあるんじゃないでしょうか。

*1:河井寛次郎記念館;以前取材でお邪魔させて貰いましたが、映画のシーンそのままの佇まいで、何とも芸術家らしい素敵な空間でした。 公式H.P. はhttp://www.kanjiro.jp/