有栖川旧邸・平安女学院大学 有栖館


書院の板張りの部分は、能舞台にも使えるというもので、畳を敷いて使う事も出来ます。団体客のいない間は、ゆっくり解説を伺いながら、静かに過ぎてゆきます。



     

京都御所・建礼門前に建てられた有栖川宮家は、維新後に京都裁判所の仮庁舎とされ、現在の地に移築されてからは、先年まで京都地方裁判所所長の官舎として使われたそう。現在は平安女学院の所有となり、昨年『平成の植治』こと十一代目小川治兵衛によって、庭が改修されました。




上段の間の龍の透かし模様。細かな技が残されています。



庭の改修にあたっては、床の高い書院にあわせて、庭全体を盛り土した上、現在の環境に合わせて、背の高くとった庭奥の木を目立たせぬように、また、庭を見渡しやすいようにと、奥に行くに従って高くなるようにしてあるそうです。京都のお庭はどこも、この『借景問題』に悩まされ、昔とはちょっと違った作り(垣根のような高い木々の列を作ったり...)になっていたりするのです。
また、『かにかくに...』で有名な吉井勇により、李白の詩にちなんで、青天門と呼ばれるようになった正門の、一枚板による門扉と、その横に植えられた、醍醐の太閤桜の子孫たるしだれ桜も、忘れずに見ておいてほしいものです。