初夏の神童寺

 
久々に来た神童寺*1は、大修復工事が終わって、また静かな境内に戻っていました*2。立派な不動明王像の居られる本堂を拝観すると、奥の収蔵庫*3の仏様にも拝させて貰えますので、寺の歴史を感じるにも、是非ご拝観を。門前を流れる川にアジサイが咲き、境内にも収蔵庫へ向かう石段に、咲いていました。







その昔神童子は、二十余坊を数える大寺院で、この神童寺の谷間はすべて寺域だったといいます。今はただ静かな山間の集落は、多くの僧侶で賑やかな境内だったのかも。
それどころか...この南山城自体、今では考えられないほどの、歴史の中心地だったのでしょう。桜咲く恭仁宮跡に、今は人の気配も無なかった時も、同じような寂寥感を覚えました。この辺りはそういう地なのですね。






 

*1:神童寺じんどうじ:その始まりは聖徳太子によると伝えられ、のち役行者によって蔵王権現を本尊とする北吉野山神童寺とされたもの。さらに後、奈良の興福寺により再興され、山内二十六坊を数えるほど興隆したものの、治承四年1180年平資盛すけもりの兵によって全山焼失。一度は源頼朝によって再建されるものの、元弘元年1331年再び兵火により焼失すると言う、辛い歴史に翻弄されたお寺。その後応永十三年1406年蔵王堂を再建したものが現在の本堂。

*2:と言っても、工事以前の姿は知らないのですが...。

*3:頭上に向かって矢を射る姿が珍しい愛染明王像。三井寺の黄不動を模して造られたという、螺髪らほつと穏やかな後背も珍しい、白塗りの不動明王像。木の根の祠に入っておられる役行者像。など、色々な仏様が居られます。