触らぬサクラに...




平安神宮の片隅に、あまり人には見てもらえない、けれどそれはそれは非常に立派なサクラが在る。
きっと神苑でサクラを”お腹一杯”見た人たちは、もうそそくさと帰るばかりの場所で、
それゆえにあまり見てもらえない...と言うより、そのサクラには近寄れないからなのかもしれない。


立派な幹の割には背は低く、しかしそれがまた、大いなるバランスを以て、力強く立っている。
何より素敵なのは、花をうんと抱えた枝を、地面に擦りそうなくらいに垂らしていること。
と言っても枝垂れでは無いのだけれど、イイ姿をしていると思う。
で、それはきっと人が近付けない故に持ち得た姿ではないか...と言うことを思う。
人が行き交う場所では、枝は人の背より高いところへと、身を竦めているのではないか?
しなだれかかるように低く垂れた枝垂れの枝も、下の方は枯れていたりするモノで、
中には枝を引っ張ったりする輩も居て、そういう輩には桜を愛でては欲しくは無いのである。
ホント、桜は可哀相な目に遭う時代です。