これまでの反省を活かして
モノクロは1本だけに
これで空間の”カタチ”を収めて
もう一台で時節の”イロ”を収めることに
今更ながら普通の事をしています
今日は京都国立博物館・庭園に
特別展などのない時期には
庭園だけが観覧出来ます
庭園だけと言っても明治から平成に至る
いくつもの名建築も見られます
『西の庭』には紅葉も鮮やかで
古くは平安時代からの美術品(出土品)が
屋外展示されています
右の灯籠は奈良・東大寺の国宝
『金剛八角燈籠』の複製で平成のモノ
私の好きなのは西の大和大路に面した
以前の正門『旧帝国博物館表門・札売場』
札売場の裏口はもう草が押し寄せ
沢山の小さな花が入りたがっているよう
この辺りをうろついていたら
ズボンはひっつき虫*1だらけになりました
別の入口あたりには
うちやられた椅子と忘れられた蝙蝠傘
吹き溜まった落葉にも
うち捨てられたモノの哀れが
こちらの気を惹いてきます
正門の門柱と札売場
重く曇って少し雨粒も落ちた空に
冷えてブルーな気分を投影
噴水池に散る落葉
雲間から少し差し込んだ陽に
鈍いながらに照り返し
晴れ間に訪れたはずが
どんどんどんよりと暗い空
冬の京都によくありがちな雲の流れ
待っていれば晴れ上がるのに
そんな根気も無く
明治30年(1897)開館の『帝国京都博物館』
当時の有り様を残す旧本館ですが
入口は急にモダンな改装も
レンガ造りの中に空を映して青いガラス扉が
非常に高いコントラスト
重い雲を背景に
勝手に東欧の街角のようなイメージを
撮ってみれば”写るんです”*2
旧ソ連圏のチープなカメラのような
あやふやな写りが合っています
意外に渋い『技術資料参考館』
『東の庭』への通り道
このあたりからはちょっとした森のよう
人も少なく静かに散策
東の庭のさらに奥
紅葉の美しい茶室『堪庵』たんあんの庭
他に訪れているのは海外からの観光客ばかり
ガイドブックに載っているのか
SNSで評判なのか
日本人はあまり知らない処
そろそろ帰ろうかなんて思っていたら
空は明るくなってきました
もうあまり考えずに『考える人』のアングルで
ベタなカットも撮っておきます
少し差した陽にこそ
”ほとんど影”の雰囲気が冴えてきます
ただの曇りでは陰はあやふや
陽の力が欲しい処
そうして大好物の陰 影 カゲ 影絵
影三昧の影四枚
旧表門の門扉や低い仕切りのアイアンが
佳い影を落としてくれます
これだけでも来た甲斐がありました
最後に旧表門
平成まではこちらから入っていた記憶
今の『南門』もスマートですが
国立博物館と言えば
やっぱりこっちの印象です
そしてもちろんモノクロでも
また2眼レフで確りと
ピーカンのつもりで
低コントラストなフィルムを詰めましたが
薄陽では後処理が難しいレベル
まぁこんなものでしょうか
こういう建築物には
6X6判がしっくりきます
味とアジの競い合い
銀塩プリントならもっと楽しめそう
重厚なアイアンの門扉など
何で撮ろうと絵にはなりますね
逆光気味が有り難く
単純に大ボケでは味気ない
二眼レフには珍しく
アイレベルでもただの素通しではなく
ピンも掴めるファインダー
こういう処は流石の高級機種です
かなり遣い辛いですが...
旧本館の”京都国立博物館”の文字の上には
『毘首羯磨びしゅかつま』(左)と『伎芸天ぎげいてん』(右)
共に美術工芸に関する仏教神*3
二人の神様が守ってくれています
デジタルカットにもあったように
帰り際に晴れてきたところ
最後になってそれは無いよと
捨て台詞で帰る前
”イロ”の担当はまさしく”色モノ”
写るんですの単玉レンズを
表裏対称に貼り合わせて
広角レンズにしたもの…らしい*4
ライカMマウント*5に加工されていて
パンフォーカスのお手軽スナップ
周辺は甘く流れるうえ
コーナーには入射角に依るマゼンタ被りも
難しいことは考えずに撮るレンズ
”カタチ”のモノクロフィルムはローライフレックス
こんな機材があるなら他のは要るの?なんて
言われるかもしれませんが
これは半ばジャンク
それでもいちおう写真は撮れています
20年くらい前にeBay*6で数万円の難ありモノ
更なるジャンクの部品を組み合わせ*7
なんとかカタチにした一品
レンズも傷だらけで贅沢品ではない品物
正直なところ本当に”2.8D”型とは言い切れません
市場ではツアイスプラナーを載せたモノより安い
シュナイダーのクセノタール搭載なのも少し身近な存在感
シュナイダーだって超一流メーカーなのに
どうも”ブランド力”が弱いのには納得出来ません
*1:もちろん虫じゃなく、雑草の種のことです。
*2:庭園のみの入場料は300円。入園者は駐輪無料。これで立派な建築や庭園に紅葉まで味わえて、3000円程のレンズでそれなりに撮れるなら、もう“パラダイス”ですね。
*3:仏教で神様というのもなんですが、様々な信仰の神も取り込んでいますし、そもそも明治以前の日本の仏教と神道は、それほど明確に分かれてなかったようですから。
*4:私が作ったワケではなくで、こんな改造レンズを個人で作って、フリマで売っている人達が居ます。
*5:Mマウントのプラスチックキャップに取り付けたモノです。
*6:当時のeBayは日本語ページもなく、稚拙な英語で辞書を片手に、先方には結構迷惑を掛けたかも。まだ今のように円安では無かったので、海外から買うのは合理的な時代でした。
*7:eBayで色々多分、裏蓋などを組み替えたと思うのですが、何をやったか今では全く記憶になく、残りの機種もなく、お恥ずかしいですが詳細不明です。