広河原の松上げ

昨夜の久多に続き、今日は広河原へと向かいました。

先ずは広場に立てられた沢山の『地松』*1と呼ばれる松明に点火され、辺りは妖しい光の光景に...誰もいない秋の下北・恐山の賽の河原の光景を思い出します。なお、松上げに用いる元火は、広河原尾花町*2の山腹に祀られている『愛宕大明神』の祠から戴くそうです。




こちらは灯籠木とろぎも大きく、およそ20メートルあるそう。場所も開けていて、観客も多く*3、かなり規模の大きな松上げです。



     
灯籠木の先端に一番手、二番手、三番手...と放上松ほりあげまつが届き、大きな炎を上げ出すと、松上げも最高潮に。
今更ながら...ですが、放物線というのは本当に美しいものですね。





 
そして、昨夜の久多と同様、かなり燃えさかった状態で、灯籠木は倒されます。違うのはその後。手に背丈ほどの棒を持った男たちが、炎に向かって何度も突っ込み、高々と火柱を演出すると、周囲からは熱い喝采が湧いて、この火の祭りの終演となります。




 
もちろん宗教的な行事ですので、松上げが始まる前には、観音堂ご詠歌が詠まれるなどします。まさに神仏ともに大切にする、日本の里のお祭りです。
今宵はミニチュアの『放上松』のお守りを頂戴。縁結びのお守りだそうですが...松上げの後に続く老若男女の盆踊りは、夜が明けるまで続いたそうで、そこで縁を結ぶこともあったのでしょうね。



上の動画は松上げの終了後、女性だけで踊りが始まったところ。顔を伏せた、ちょっと変わった踊りで始まりました。
その後、松上げを終えた男衆も加わって、狭い観音堂では大勢の里の方々が、踊りを楽しんでおられました。午後の一雨で涼しくなった山里の、熱い暑い一日のおわり。




この夏は期せずして、いきなり二カ所の松上げを拝みましたが、いずれの里も息づいていて、どちらも去り際には心地よく、いい八月の終わりになりました。

*1:地松は各戸に三十三体の数があると言うことです。

*2:松上げの会場である下之町から、さらに西北へ向かった辺りの町名。

*3:今年は京都バスによる特別輸送が無かった為に、方々のブログ記事に見るような混雑や、帰り道の車の渋滞はなく、そういう意味ではしみじみと、静かに地元に根ざした祭りの姿を、垣間見ることが出来ました。