久多の松上げ

左京区と言っても北の北、花脊、広河原のさらに奥、久多の里での松上げ*1に行ってきました。お恥ずかしながら、松上げを見るのは初めて。

今宵は始まってすぐ、ひとつの上松あげまつ*2がしっかりと灯籠木とろぎ*3の籠をとらえ、早々に大きく燃え盛り、辺りの人がついつい『早すぎる...』と呟いてしまうくらい。そのためあまり沢山撮る間もなくて...。
背後では雲が途切れて、満月近い十三夜の月が、青白く、稜線を照らしていました。



そして、10分ほどで終了となってしまいました。でも、早く燃えるのは、佳いことなのかも知れません。

最後にはこのように倒されて、しっかりと籠の部分や、残りの松明などが燃やされます。倒れる向きを知っていたら、もう少しちゃんと撮れたでしょうね。それにしても...久多の里は、私のような余所者の見物人も少なく、静かでほのぼのとした雰囲気で満たされ、ほんとうに心穏やかに、愛宕さんへ捧げる炎を、眺めることが出来ました。


帰り道の鯖街道367号線、走っていて涼を感じましたが、路側の気温表示は【25℃】。普段なら、20℃切っていてもおかしくないと思える花折峠。Tシャツ一枚ではないにしろ、半袖で気持ちいいのは、やはりこの夏が異常に暑いのでしょう。

*1:松上げは洛北の山あい、数カ所の里に今でも残る風習で、精霊を送るとともに、火伏せや五穀豊穣(ほうじょう)を祈る行事です。

*2:上松;投げ上げる為に紐の付いた松明

*3:灯籠木;丸太の先端に、燃やされる木の入った籠が付けられ、立てられた“大きな松明”のようなもの。ここ久多では、高さ約10メートルほど。