詩仙堂・金福寺

 
数年前までは静かな詩仙堂。ここ最近ではいつも人が多く落ち着かない感のある詩仙堂...ですが、今日は一時風景を独り占め出来たほど。贅沢な時間を過ごしました。夏には畳敷きですが、今日は全面毛氈様の敷物が、雪の照り返しを紅く染めておりました。
金福寺にも行きましたが、今日は猫君には会えませんでした。芭蕉庵も今ちょうど屋根の工事中で、これまた残念。どんどん陽が差してきて、木の枝葉に積もった雪が、時に容赦なく崩れて落ちて頭に、カメラに降り注いできます。そんな中お寺の裏山にある与謝蕪村のお墓に参ってきました。
お墓の横にはいつも季節ごとに「蕪村が当季によめる句」が十数句掲げてあります。その中から2句。
 こがらしや炭売ひとりわたし舟 蕪村
 こがらしや何に世わたる家五軒 蕪村
蕪村の句は名も無き人の暮らしを呼んでいて、悲しくもたくましい、或いはそれらを通り越したなごみに満ちていて、好きです。高校の頃か、非常に心に刺さる句を習い、それを写真にした事もありましたが...以下の句です。
 月天心貧しき町を通りけり 蕪村


今日は真っ暗に雪の降りしきる時間あり、時に眩しすぎるくらいに晴れ上がる時あり...と、まさしく冬型の空模様の京都。北から張り出す雪雲が、北山を越えて流れてきて雪となり、また北山の向こうに隠れて晴れ上がる...。大阪神戸が一日中晴れていたりする中で、京都は天気の境目に右往左往させられるのです。今日も3時過ぎに一度完全に晴れ上がったかと思ったものの、5時過ぎこれを書いている今も、また窓の外ははらはらと雪が降っています。